旅行するときに注意したいタイ王国が抱える政情不安
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僕は今までタイに何度か行きましたがデモを行っている期間とかち合うことが多いので、タイの人から聞いたり自分で調べたことをまとめてみました。こういった背景を理解しているだけでトラブルに巻き込まれるリスクも減らせると思います。
タイでよく起きるデモ。
現在は軍事政権が掌握しているため落ち着いているようですが、たびたび死傷者や逮捕者を出すほど過激な衝突をしているこのデモはどうして起きているんでしょうか。
対立する二つの派閥
対立しているのが
・赤シャツ隊(タクシン派)
・黄シャツ隊(反タクシン派)
の二つです。
支持層
・赤シャツ派
支持層:農民、貧困層
タクシン元首相(この人)を支持する層です。
タクシン元首相はタイ第二の都市といわれるチェンマイ出身の政治家です。この人の政治の特徴としては農村部優遇と貧困層救済が多いことがよく挙げられます。
タイは農村部と都市部の貧富の差が著しく、農村部や東北部は貧しい人が多いため不満がたまりやすくその人たちからするとタクシンさんは救世主のように見えるのでしょう。
タイ国民の半数以上が農民なので、バラ撒きのような政策ですが農民優遇によって絶大な人気を誇っています。
このタクシンさんを支持しているのが赤シャツ派の人たちです。
・黄シャツ派
支持層:中〜上流階級
赤シャツ派に対抗しているのが軍部を含めた権力者たちから構成される黄シャツ派です。
彼らが反タクシンなのにはもちろん理由があります。
まず、タイはアメリカのように超格差社会でありインドのように超身分社会です。
そんな社会の中で今自分たちが持っている権力や身分、資産などがタクシンさんの貧困層優遇によって脅かされる心配があるからです。
次にタクシンさんのやり方に不満があるからです。
タクシンさんのやり口としてバラ撒きで農民や貧困層などの十分な教育を受けれていない人に対して目先に人参をぶら下げて票を獲得するという手法を取って権力を集めていました。
そのやり方が中〜上流階級のしっかりと教育を受けた人たちからすると魂胆が見え見えだということです。
そんな理由で2つの派閥に分かれています。
またよくタイでジョークとして言われるのがお金を持っている方が勝つということです。これは 貧困層から票をまとめて買い上げることで多数派になるということを指しているみたいです。これが本質ですね。
衝突
デモ行動から衝突に繋がるのはいろいろな理由がありますが、2013年のデモは2010年の暗黒の土曜日事件が発端で起こったそうです。暗黒の土曜日事件は当時のアピシット首相が赤シャツ派(タクシン派)のデモ集会に対してタイ国王軍が発砲して2000人以上の死者を出したことが大きな発端になっています。
このような軍事衝突による負傷者や死傷者が出るだけでなく、空港を占拠して封鎖などによってASEAN会議が中止になったり観光客が入国できなかったりと観光業が大きな収入源である国内経済にも大打撃を与える結果になってしまっています。
まとめと注意
この赤シャツ派と黄シャツ派の対立は今も続いています。今は軍事政権が掌握していることで表面的に安定しているように見えるかもしれませんが、まだ対立は終わっておらずどんなことがきっかけで再発するかもわかりません。
巻き込まれないためにも観光客とはいえど黄色のシャツや赤いシャツなどは控えた方がいいかもしれません。
この問題を抱えていることを頭の片隅にでもいれておいてデモの近くには近づかない方がいいかもしれません。
僕もデモ隊の近くのチケットオフィスにバスのチケットを取りに行った次の日、店の近くでデモ隊を狙った爆弾が爆発して死傷者がたくさん出たニュースを聞いて冷や汗が出ました。
面白半分でバカにしたり不用意に近づいたりも控えた方がいいと思います。
タイは楽しい国ですが、こんなことを覚えておけばよりタイという国がわかるかもしれません。