負の遺産 ホアロー収容所へ

前回のつづきです。

 

ホーチミン博物館からタクシーを拾って暴風雨の中一度ホテルに戻りました。

 

O君「とりあえず疲れたから昼寝しよ」

彼は相変わらず休みたがります。しかし今回は大賛成。持ってきた靴が水没して歩くたびにスポンジを絞るようなキモい状況が足で起こっていたから。

 

こればっかりは山で遭難経験のある僕でも無理です。

 

小一時間昼寝してダラダラしていたらホテルのすぐ近くにホアロー収容所という観光地(?)を地球の歩き方で見つけ風邪も少しおさまっていたので行くことに。

 

本によるとイギリスは海外に出ると公園と競馬場を作り、フランスはオペラ座と監獄を作るといわれているらしい。僕たちは監獄の一つに向かうことにした。

 

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収容所に近づくにつれて壁が黒ずんでいたり急に空気が寒気のする感じになったりとなんか近づきたくないオーラを感じながら一歩一歩進んでいきます。

 

K「なんかいや~な感じしない?」

O君「え?なに?靴の話?」

彼はもうすでにやられてしまったようだ。捨て置こう。

 

場所はこちら

入場料はVND20,000 \150くらい?

 

ホアロー収容所跡地となっていますが一部が残っています。

戦争や弾圧などで使われたこの収容所は二度と歴史を繰り返さないように負の遺産として保存されています。日本人はあまり来ないみたいでマイナーな観光地のようです。Wkipediaも日本のものはなくTripAdviserの口コミくらいしかありません。

 

ちょうど最近、日本の軍艦島が負の世界遺産としての登録が話題になっていますね。世界遺産ではありませんがこの収容所も同じような戦争などに関係する負の遺産です。

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これが昔の収容所です。

この収容所は1886年に当時宗主国だったフランス政府が罪人や革命家、軍人などを収容するために作られました。これが後のベトナム戦争ではアメリカ人捕虜の収容所として使われ’Hanoi Hilton’(ハノイのヒルトンホテル)と言われ有名になります。そのためかアメリカ人に人気の観光地となっています。

ちなみにホアロー収容所の’Hoa lo’とは地獄の穴と訳されるようです。

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門の横を潜り抜け入っていくも中は薄暗く、嫌~な雰囲気

 

O君とビビってんじゃねえよ。は?ビビッてねーしという茶番を入った時はできていたけれど、余りの雰囲気にそんなこと言える空気じゃなくなっていった。

 

 

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実際の収容者たち。彼らはフランス政府に対する反乱分子(革命家や政治家)

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足かせにつながれています

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人形たちは談笑している様子であんまり辛そうには見えません。遊び心でしょうか笑

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少し外に出れるところがあり暗い空気から逃げれると飛び出すも飛び出した先には怖いレリーフが。。。

 

目を背けたくなる。

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プリズンブレイクを思い出した。

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また中に入るとみせしめと水責めのフィギュア。

 

O君と僕はみるみる会話がなくなっていった。

 

極めつけがコレ

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マリー・アントワネットもこれで処刑されたというアレだ。

見た瞬間ふたりとも首を抑えていた。防衛本能ってやつなのかな。

 

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この貫禄である。怖いものみたさでよく見ると手首も同時に切り落とすタイプのようで切ったやつの受け皿的なものも設置されていて考えられているなあと感心した。

 

↑この50文字程度の説明を書くのに手首を抑えたり首を押さえたりして書いたため5分近くかかった。グロ系とか無理。

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また逃げ出すように光のほうに向かって行ったら壁に幽霊が書かれていた。

 

もう二人とも帰りたい気持ちでいっぱいだった。ベトナム戦争が第二次世界大戦より近代のためか原爆ドームより胸に来るモノがあった。

 

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犠牲者の女性。胸の勲章から政治家もしくは軍人だったんじゃないかということが伺えます。

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唯一の救い。昼寝する監視員。

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そして出口にこの垂れ幕を見つけた時、O君と僕は急に現世に戻ってきた気がしてなんとか暗い気持ちから転じることができた。

 

負の遺産の観光地に行くと”戦争はダメ。”という安直な考えが浮かぶけれど、日本と中韓のような国同士の問題やイスラム・キリスト・ユダヤなどの宗教的な問題などどっちが悪いと決めることができないことがこれからも続いていくのは避けられないことだと思う。むしろ時がたつにつれて国家間や宗教間での対立は悪意のある婉曲やプロパガンダによってどんどん悪化していくんじゃないかなとも思う。

過去の問題に囚われすぎることなく過去のことは教訓としてそれを繰り返さないように行動できる人間になるように生きよう。そんなことを考えさせられる観光地だった。O君とはそんな話をしたわけでもなく心の中で独りそんなことを考えていた。

興味を持った方は是非行ってみてください。

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